2011年12月24日土曜日

本「ダントツ経営」【11年24冊目】

<本の紹介>
経営改革を断行し、「右肩上がりを前提にしない経営」を確立。グローバル化を進め、売上高の7割を新興国市場で稼ぎ出す体制に―「世界で勝てる製造業」への取り組みをコマツ会長が語る。一足早く“世界経済の大転換”にさらされた建設機械業界。世界で勝つための答えが、ここにある。

<メモ>

  • リーダーの役割は、政治でも企業経営でも、あるいはその他の組織でも同じです。明確なゴールを示して、構成員を同じ方向に向かわせ、全員の汗と知恵のベクトルを結集して新しいうねりをつくりあげていくことです。
  • 建設機械というのは技術の粋を集めて開発・生産しているにも関わらず、単価が非常に安いです。最も普及しているモデルの建設機械では、車体重量1トンあたりの価格が約50万~70万円です。ということは、1kgあたり500~700円。これは、牛肉やマグロとは比べ物にならないぐらいに安いのです。
  • 私は、代理店は「ハンター」だと思っていた。とにかく腕を磨いて、「獲物(お客)」のいそうなところへ出向いて、それを仕留める。そんな感覚で仕事をやってきた。しかし、しばらくして「これは違うな」と思うようになった。その頃から、代理店は「ファーマー」だと考えるようになった。過去のお客さんにも情報を提供したり、よいサービスを提供したりすることで、定期的に「収穫(買い替え需要)」が得られる。地道な取り組みでコマツや代理店の評判が上がれば、新たな顧客も自然に獲得できるようになる。それがわかって、いまの商売でずっとやっていけるという自信が生まれた。
  • 中国の人は「発展空間」という言葉をよく使います。いまの仕事を続けて、自分がさらに発展できる空間があるかどうか、企業はそうした発展空間を提供できるかどうか。それが、中国で優秀な人材を確保できるかどうかの分かれ目になるでしょう。
  • 企業あるいは国の財政再建もそうですが、ひとつの組織の収益体質を改善しようとするとき、最も陥りやすい誤りは、手っ取り早い「変動費の削減」ばかりを追いかけて、現場や外部に負担を押し付けることです。自分の都合ばかりを押し付ける傲慢な企業に、部品メーカーはついてきてくれるでしょうか。それよりも組織にどっかりと覆いかぶさり、活力を損ねる「固定費」にこそメスを入れるべきです。
  • 「バッドニュース」(不祥事)をフラッシュレポートの一番上に書かせることにし、その次に市場で発生した主な品質問題などについて報告させ、最後に業績についてレポートさせます。「トップが何を重視しているか」をこういうかたちで「見える化」することで、コンプライアンスの精神が徐々に組織全体に根付いていくのだろうと思います。
  • 東京一極集中が、高学歴化・晩婚化を促します。生活コストや教育コストが高まり、世代が別々に生活するパターンを生み出し、少子化を加速させました。ちなみに、コマツの既婚女性の子どもの数は、東京本社が0.5人、大阪・北関東地区が1.3~1.4人、北陸地区は2.0人です。北陸地区の子どもの数が多いのは、親子3世代が近くに住んでいるため育児も容易で、生活・教育コストにも余裕があるからでしょう。
  • 日本の行政コストも固定費と変動費とに分けずに議論されているため、予算がカットされたとき、その大変が変動コストにしわ寄せされます。変動コストのほうがカットしやすいからです。しかし、変動費が削られると困るのは現場です。少ない経費で、これまで通りの(あるいは、これまで以上の)パフォーマンスが求められるからです。最近、注目されている事業仕分けも、固定費と変動費を分けずに進められています。固定費である間接部門の人件費、すなわち雇用をどうするかという一番肝心な問題点を避けて予算削減を指示するので、それに関わっている人たちが新たに別の仕事をつくりだしてしまうのは当然です。固定費にメスを入れないと、予算削減とともに、どんどん現場の余裕がなくなっていく。国民は、この悲惨な状況に気づくべきです。
  • 「会社がこういう状況になったのは、経営陣の責任が一番重い。しかし、皆さんも悪かった。それぞれが「何かできるはずだ」と考えるように意識を変えて欲しい。」

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